眠い目をこすりながら、森町へ向かうライターげん。
向かう先は、新東名高速道路 森・掛川 IC より車で5分、『鈴木農園』。
こちらでは一般的なとうもろこしよりも甘いと言われる、森町特産スイートコーン『甘々娘(かんかんむすめ)』を
取り扱っているのですが、県内各所よりそれを求めに来る人が大勢いるため、毎朝行列ができるそうです。
この農園では、その甘々娘をふんだんに使ったあま~い『甘々娘ジェラート』も売られているということで、
しずふぁん!!ライターとしては見逃せないですね。
直売所に到着すると、まだ薄暗いというのに、人が並び始めていました、早い!
午前4時に並び始めた行列先頭部の2人は何がお目当てなのか。
「そりゃ、ここに並ぶって言ったら、アレしかないよなぁ。」
吉田町から来た2人も、やはり目当てはスイートコーン甘々娘。
「1人限定5袋だったかな。制限があるんだよ。」と本杉さん。
どれだけ甘くておいしいのか気になりますね。
直売所から軽トラックが何台か出発しました。
早速、甘々娘の収穫が始まったようです。
私もそれに同行! そして、寝ぼけて畑に落ちたのは秘密。
「朝収穫すると、糖度がのるから甘くてウマイんだよ。」
そう教えてくれたのは、鈴木農園を仕切る、鈴木弥(わたる)さん。
慣れた手つきで手早く甘々娘を収穫していきます。
「しっかし、取材に来て早々、畑に落ちることはないだろうよ。」
笑いながら、鈴木さんは農園スタッフの皆さんに言いふらしていました。ハズカシイ!
直売所に運ばれた甘々娘は、選別され、袋詰めされます。
皆さん、とにかく動く、動く。
邪魔になるかと思って直売所の隅に待機していると、
「お兄さん、そこの青いカゴを取ってくれない?」
「おい、げん(私のこと)。ちょっとそこのとうもろこし2本持ってきてくれや。」
はい、分かりました、今すぐ!
いつの間にか直売所のスタッフと化していました。
▲ 「農業なら何でも聞いて!」 とうもろこしの選別を担当する井口さん
甘々娘を手に取り、一瞬でかごへサイズごとに選別していく井口さん。
「長年の経験で、見れば分かるよ。」と笑う井口さんは地元で農業に約50年間携わっています。
「農業は面白いわよ、可愛い子どもみたいで。人間と同じで、病気もするし、ほっぱらかしたら(=放っておいたら)
あかんよ。」
愛情込めて育てられているんですね。
午前6時15分からの販売となりますが、1時間前なのに既に行列が。
直売所前の駐車場はあっという間に満車となり、農園スタッフが出てきて交通整理をしていました。
「8時30分には行列のピークが来てね。今日は少ないほうだけれど、毎日あそこにある隣の家(100mほど先)まで
列ができてしまうんだ。だからいつもは行列を2列にするんだよ、危ないからね。」とスタッフの方。
それだけ並ぶ直売所を私は見たことがありません。
これがその甘々娘。
そんなに甘いのか、半信半疑のまま生でそのままガブリといただきました。
直売所内では「もっとおいしそうな顔をして!」、「いいねぇ、その顔だよ!」、「はい、にっこり笑って!」という声援(?)
周りのスタッフ、ノリノリである。
さて、お味のほうは、やっぱり一般的なとうもろこしより、かなり甘かったです。
採りたてのみずみずしさもあり、粒がプチッと弾ける食感もいいですね!
▲ カンカン帽をかぶる甘々娘生産者 鈴木農園 鈴木弥(わたる)さん
口コミが口コミを呼び、連日朝から行列ができるという直売所ですが、それは「やるならとことんやってやる!」と
いう信念があったからこその結果でした。
「今の直売所は立派な建物だけれど、最初は手作りの掘立小屋からスタートしたんだ。台風が来た後は屋根が
ぶっ飛んでいたり、壁に穴が開いていたり、修繕を繰り返しながら農作物を売り歩いていたよ。」
それでもなかなか売れない農作物。
しかし、鈴木さんは諦めずに質が良く、おいしいものを作り続けました。
そしてその農作物を「おいしい」と感じたお客さんの口コミによって、今では分単位で電話が掛かってくるほどの、
大きな農園になっていったのです。
「人と人のつながりは大事だと思うね。おいしいよ!また来たよ!と言われると、とても嬉しい。このつながりを
これからも大切にし、農業を盛り上げていきたい。」
ちなみに、サングラスを掛けているとうもろこしのイラストは、『ファーマー鈴木さん』というキャラクターで、
鈴木さんの似顔絵をとうもろこしで表現したそうです。(上写真)
「そのうち、ファーマー鈴木さんのストラップができるかもね。」と鈴木さん。
そして、こちらが甘々娘のジェラート!
鈴木農園で採れた、甘さたっぷりの甘々娘を練り込んで作られたカップアイスです。
鈴木さんいわく、「アレだな、アレ。コーンポタージュのアイス版だ!」
味がとても気になるところ。
このジェラートだけは直売所のみの販売になっていて、数量にも限りがあります。
だいたいお昼には商品が完売して直売所が閉まってしまいます。
だから、これは基本的に午前中にしか手に入らない貴重なジェラートなんです!
やや固めに冷やしてあるクリームにスプーンを突き刺しパクリ。
「ん~!」と声を上げてしまうほど、甘くて冷たい!
しつこいような甘さではなくて、さっぱりとした甘さなので、食べた後の清涼感も清々しい。
「来年(2014年)4月には法人化して、農業離れをしている若い人が働けるような場所を提供していきたい。
森町の田園地帯を守るため、森町をもっと元気にするため、これからも頑張っていくよ!」と農業を通じて
精力的に活動をする鈴木さん。
ちなみに、7月をもって甘々娘は収穫を全て終え、買うことができなくなりますが、そこからは甘々娘並みの甘さと食感を
備えた新品種『森の甘太郎』という、とうもろこしが登場します。
「JAの皆が名前を考えた時、甘々娘とか甘獲娘(カントリーむすめ)とか、とうもろこしは女の子ばっかりだったから、
男の子の名前にしようと思って付けたんだ。」
そんな甘々娘の弟分、森の甘太郎も食べてみたいですね!
※ とうもろこしの販売は9月末まで。
※この記事は2013年7月に公開しました
『鈴木農園谷中直売所』
所在地 : 静岡県周智郡森町谷中260-1
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連絡先 : 0538-85-4815
定休日 : 不定休
営業時間 : 6:15~(※ただし、無くなり次第営業終了)
駐車場 : 直売所前(※すぐに満車になる可能性があります)