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小さいけれどあなどれないお豆!

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みなさん、「納豆」と聞いてどんな事を連想されますか?

糸を引く納豆をイメージを連想される方が多いと思いますが、
私ライターゆっきぃが今回取材させて頂いたのは、
ネバネバしない 納豆です。

浜松市の名物、『浜納豆』を求め、浜松市中区助信町にある『ヤマヤ醤油』へ行ってきました。


▲看板に歴史を感じます

まず、浜納豆とはなんぞや。という方の為にご説明いたしましょう。
甘納豆ではありません。響きは似ていますが、浜納豆は甘くありません。

納豆を作る時に使う「菌」が違うそうで、
一般的な糸引き納豆は「納豆菌」、浜納豆は味噌を作る時に使う「麹(こうじ)菌」を使います。
味は味噌に近くあまじょっぱく、食感はチーズみたいな感じで半乾燥。


▲代表取締役 金原利征(きんぱらとしゆき)さん

浜納豆は家康公も大好物だったという話があります。
ということは、いつごろから食べられているものなの?という話になりますね。

諸説あるそうですが、もともと、 中国から日本に伝わってきたもので、仏教伝来とともに浜納豆の
製造方法も伝わったというのが、始まりだそうです。
家康は中国から日本に仏教を取り入れた時に、お寺との接点があり、浜納豆に出会ったのではないか。(金原さん談)
浜納豆は仏教との関わりが深いため、お寺からお寺に伝わり、現在浜納豆を作っているお寺もあるという。

当時はもちろん蔵庫などはなかったため、戦に行く時には保存が利く食品が重宝された。

浜納豆は塩分があるため腐りにくく、元気の源となるタンパク源をを採らなければいけなくなったときに、
とても貴重なものであった。

ちなみに、常温で6ヶ月保存可能。


▲浜納豆は『やらまいか浜松』の認定品!

北海道産の大豆を100%使用している理由。
大豆には、白芽・茶芽・黒芽と3つありますが、
白芽と茶芽はお豆腐、味噌をつくるときに使われる柔らかい大豆です。
浜納豆に使われているのは大粒で固い「黒芽」なのです

地産地消の観点から、県内産の大豆を使って作ってほしいとの要望もあるそうですが
浜納豆は完成した状態の時に、形が残っていなければいけないので、一番豆の固い「黒芽」を使っているのだそうです。

黒芽は北海道でしか生産していないのです


▲じゃじゃーん!これが浜納豆です

初めて見た人は、まさかこれが納豆だとは思いませんね。1粒1粒、形がしっかりしています。

さっそく食べてみましょう!


▲見えますか?

芳醇で、お酒のおつまみにもピッタリな大人の香りがします。

いっただっきまーす!


▲もぐもぐ・・・

これはお酒のお供にピッタリです!塩の味と、ショウガの味で大豆が引き立ちます。

「初めて食べる人にはお茶漬けがおすすめ。一粒でも味がしっかりしているので、3~4粒程ご飯に乗せて、
梅茶漬けのイメージで少しずづつ潰しながら食べて欲しい。」と金原さん。

金原さんオススメの食べ方は大豆と同じ位の大きさにチーズを切り、
浜納豆・チーズ・浜納豆・チーズという順番で爪楊枝に刺す「焼き鳥方式」

浜納豆は浜松市内の小・中学校の給食でも食べられていて、そのままだと大人の味なので、
好き嫌いが分かれてしまうそうなのですが、細かく刻んで煮物に入れたり、麻婆豆腐に入れたりすると
隠し味となり、とても美味しいとのこと。

刻んで混ぜてもよし、ぱらぱらとかけてもよし、料理のレパートリーの幅が広がりますね。


▲私の身長より大きな釜

では、浜納豆のできるまでをお伝えしたいと思います。
浜納豆の生産は月に1度しか行わないそうで、今月の生産は終わってしまっていました。(残念・・・!)

1度に630キロの大豆を仕込むそうです。年間なんと7トン!

上の写真の大きな釜は3段になっていて、1段に210キロずづ大豆(黒芽)を入れ、
水に3時間浸し、その後水を抜いて大豆が湿った状態で3時間蒸します

水に浸してから蒸すまでをこの大釜1台でできちゃう!という優れものなのです。

この作業で1日目が終了。


▲ここは「ムロ」という部屋です

蒸し上がった状態で次の日の作業に移ります。
こちらの「ムロ」という部屋に白いシーツを敷いて大豆を広げ、1粒1粒、むらにならないように
麹(こうじ)菌をまいたあと、お茶を手揉みするように丁寧に大豆(黒芽)につけていきます。
大豆(黒芽)をつぶさないようにするため、機械ではなく手作業で行います。


▲見えますか?黄色い粉

麹菌を付けてから3日間おくと、この黄色い麹菌が大豆(黒芽)に付きます。
麹菌は生き物なので、毎回同じ品質で良い物を作るには温度管理がとても重要!
活発に菌が働ける状況を作らなければいけないということで、このムロでは
温度は高すぎず低すぎず、だいたい30度~40度に保っています。

昔は温度調節をする機械がなかったそうで、「温度調節の機械を取り入れてから浜納豆の出来が
格段によくなった。」と金原さん。


▲ムロに入ってから3日後。(このままは食べられません。)

この写真の状態が、ムロで麹菌が均等についたものです。大豆(黒芽)の地肌が見えることなく
まんべんなく麹菌が付いています。

この状態になったらいよいよ漬け込む作業です。


▲仕込みたての樽

大豆(黒芽)を樽に移し、漬物石のような重し(100キロ)をして、塩水を入れた状態で12~15ヶ月寝かせます。
塩水を注ぎ足し注ぎ足しして、だんだんと黒く浜納豆らしくなります。


▲この段の樽は次回出荷するものです

15ヶ月間一度も中を開けることなく出荷を待った浜納豆の樽。

この樽を開け、天日干しをする瞬間が待ち遠しいですね~。


▲浜納豆を使った商品

浜納豆そのままだと好き嫌いが分かれてしまいがち。「どうやったら浜納豆を広めていけるだろうか。」
と考えた時、浜納豆は料理の隠し味に使っても美味しいものなので、浜納豆を使った商品を作ろう!ということで、

・100%浜名湖海苔を使い、静岡茶で甘みを付けて隠し味に浜納豆を使った佃煮(写真左)
・浜納豆をつかったせんべい(写真中央)
・浜納豆を粉末にして塗したゴマ(写真右)

どれもおいしそうです!


▲ヤマヤ醤油の店頭でも購入できます(画像提供:ヤマヤ醤油 有限会社)

浜納豆は、発酵食品なので、非常に消化がよく胃腸科の先生もまとめ買いするとの噂!
お通じも良くなるそうで(個人差があります)、いいこといっぱい!
1回でたくさん食べずに、1日ちょっとずつ食べる習慣を長く続けると体にいいようです。(金原さん談)


▲金原さんと樽の前でパシャリ

浜納豆に対する金原さんの愛情がたくさん伝ってきました。
これからも伝統の味を守りつつ、たくさんの人に愛される浜納豆を作り続けてほしいと思います。

※この記事は2013年5月に公開しました

『ヤマヤ醤油 有限会社』
住所 静岡県浜松市中区助信町15番1号
TEL  053-461-0808
FAX 053-465-0135
営業時間 9:00~17:00
URL  http://www.ymy.co.jp/


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