だんだんと暑い日が増えてきましたね。
夏に向かい各地でイベントがどんどん増えて来る時期ではないでしょうか?
私の場合「イベントムードを盛り上げる時に飲みたいもの」と言えば、ビールです。
浜松発の地ビールがあるとの噂を聞きつけ、私ライターゆっきぃがやってきたのは
浜松市中区にある『浜松酒造・天神蔵』です。
天神蔵(写真右)は明治40年代に建てられた酒蔵をリニューアルして、平成10年2月に観光用にオープンしました。
浜松酒造では約130年前から日本酒の製造を行っています。
天神蔵のリニューアルオープンに合わせ、日本酒のノウハウを生かして浜松の味が造れたらと、
チェコ人の技術者の指導を元に、平成9年の11月13日に地ビールの醸造を開始しました。
平成10年の2月に販売が出来るように仕上げたのが、『天神蔵ビール』です。
7年程前からビール造りに携わっている望月さん。
「若い子の酒離れに歯止めをかけるという意味でも、若い人にも天神蔵ビールを飲んでもらい、
先入観にとらわれず、ビールにも色々な種類があるという事を知ってもらえると、この先お酒を飲むのが
楽しくなるんじゃないかな。」とのこと。
私、一般的に販売されているビールしか飲んだことがないので楽しみです。
望月さんに天神蔵ビールについて色々と教えてもらいました。
「とにかく本物の味を求めたい!」という志を持っていた会長が何度も欧州に足を運び、
現地で3タイプのビールに出会い、作り方を教えてくれる職人に出会いました。
その3タイプのビールというのが、今現在販売している天神蔵ビールの元になっています。
▲天神蔵ビール【ピルスナー・ヴァイツェン・ポーター(左から)】 各330ml 1本410円
天神蔵ビールは深さ約100メートルから汲み上げた天竜川の伏流水を使用しています。
無濾過の生ビールの為、一般的なビールとは違い要冷蔵です。
330mlと、持ちやすいサイズになっているため、憧れのビールのラッパ飲みも出来ちゃいます!
天神蔵ビール3種類の特徴
・ピルスナー・・・アルコール度数4.5%【色は金色で爽やかな苦みとすっきりとした喉ごし。】
・ヴァイツェン・・・アルコール度数5.0%【小麦の麦芽を使用していて、フルーティーで酸味がある。】
・ポーター・・・ アルコール度数4.5%【色は黒色、苦みを抑えてやや甘め。】
それでは、ビールの醸造の工程を見ていきましょう!
この日はピルスナーを醸造していました。
天神蔵ビールの原料には麦芽、ホップを使います。麦芽とは、主に大麦を少し発芽させたものです。発酵に必要な糖分の元であるデンプンを多く含み、デンプンを糖化する酵素をもっています。また、様々な種類の麦芽を使用する事で、ビールに様々な色や、風味をつける事ができます。ホップとはビールの苦味、香り、泡を決める重要な要素で、雑菌の繁殖を抑え、ビールの保存性を高める働きがあります。
上から麦芽を入れて粉砕します。
粉砕された麦芽の粒の大きさが、後の仕込みの工程に関係していきます。
浜松酒造の造り方に合った大きさに粉砕するため、コンマ何ミリの微調整をしていて、
荒すぎてもダメだし、細かすぎてもダメだそうです。
粉砕した麦芽と湯を釜に入れ、蒸気で徐々に温度を上げていきます。
その後、麦汁とカスに搾り分け、ホップを入れて煮沸します。
温度を上げることで麦芽が糖化されて甘くなります。
その作業を行うのが、このチェコから導入されたという醸造プラントです。(上写真)
浜松酒造のビール造りは、各工程すべて手作業の為、職人の勘、腕の見せどころが随所に見られますね~。
役目を終えた麦芽の搾りカスは、知り合いの畑で肥料として再利用されています。
なんでも、スイカが甘くなるんだとか・・・!(真相は不明だそうですが。)
出来たての麦汁を味見させて頂きました。発酵させる前、つまりビールになる前のビールです。
温かくて、甘さの中にほんのり苦味があります。(ここではまだ、ビールのイメージのひとつ、炭酸ガスはありません。)
これがどんどんビールらしくなっていくんですね!
ビールを造る為には、糖化と発酵、この2つの工程が重要になります。
糖化とは、麦芽の酵素を使って、麦芽の中に含まれるデンプンを糖に変える工程です。
発酵とは、仕込みで得られた糖分を酵母を用いてアルコールと炭酸ガスに分解する工程です。
約10日前後、酵母は麦汁を発酵させ、ビールに変える働きをします。
理科の実験みたいですね~。わくわく。
充分酸素を加えた酵母と麦汁を発酵タンクに移します。
この時、麦汁は90度から10度位まで一気に冷やされます。
酵母にはそれぞれ発酵に適した温度があるので、目的の味のビールを造る為には、温度管理が非常に大切。
発酵が始まる前に酸素が充分にあると、酵母の増殖が盛んになります。
その結果、アルコールと炭酸ガスをつくる働きが活発になるのです。
1度の仕込みで作るのは約1,000ℓで、ビンにすると約3,000本分です。
この噴き出してきている泡は麦汁に酸素がよく混ざりあっている証拠。
発酵を終えたら、ビールを爽やかな感じに仕上げる為、貯蔵タンクへ移し、1ヶ月以上かけて熟成させます。
熟成中に炭酸ガスがビールに溶け込みすぎて、尖った味にならないように圧力を調節します。
その後、樽に詰め、10度以下に保たれた部屋でビン詰めをして製品となり、出荷されます。
天神蔵のビールは無濾過の生ビールの為、要冷蔵!
すべての作業は徹底した温度管理下で行われています。
完成が待ち遠しい!
とっとっと・・・!ありがとうございます。ビールを注いで頂きました。
「ビールの注ぎ方にもコツがあるのよ。」と淑さん。
最初はグラスを斜めにしてグラスの側面を沿うようにビールを注いで、途中からグラスを徐々に起こしていくと
その勢いで上手に泡立ちます。(ビールの種類にもよるそうです)
泡が立ちにくいなと思ったら早めに起こすのがコツ!と伝授してもらいました。
泡が消えないうちに飲まなければ。
なんと、ピルスナー・ヴァイツェン・ポーターの3種類とも試飲させてもらいました。
どれも個性的で美味しかったですが、私のお気に入りは、フルーティーなヴァイツェンです。
とても飲みやすく、ゴクゴク飲んでしまいました。
私たちの後ろにある丸いテーブルは、昔使っていた日本酒の「仕込み桶」の底を、
手前にあるテーブルは搾り機を、それぞれ解体し、リメイクして使用しているそうです。歴史を感じます。
▲ポーターとお茶を飲んで一服 (左から 横田しずゑさん・宮本はまさん・伊藤きゑ子さん)
「週に1回は来るわね~。」と、常連のお母さん達。
15年程前までこの蔵で実際に酒造りをしていたので、一般の人が入ることは出来なかったのですが
現在は、酒の販売や、お茶・コーヒーが飲めるなど、誰でも立ち寄ることが出来ます。
なるほど、近所の方々の憩いの場にもなっているんですね~。
ここに来るまでに道を間違えた私ですが、ご近所の方々に教えてもらいながら
無事に到着することができました。(ご迷惑をおかけしました。)
天神蔵は、地域の人々に親しまれる憩いの場でもありました。、
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、※この記事は2013年5月に公開しました
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『浜松酒造株式会社』
所在地 静岡県浜松市中区天神町3-57
TEL 053-461-6145
FAX 053-463-3851
URL http://www.tenjingura.com/
『天神蔵 』
営業時間 10時30分~19時
定休日 毎週火曜